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違法な給与ファクタリングとは?安全な業者の見分け方を解説

ファクタリング安全性

運送業には、軽貨物ドライバーのように個人事業主として働く方も多く、資金繰りに困った際に「ファクタリング」と称する怪しい勧誘を受けることがあります。中でも近年、金融庁が繰り返し注意喚起しているのが「給与ファクタリング」という違法な手口です。本記事では、正規の事業者向けファクタリングと、違法な給与ファクタリングの違いを整理し、安全な業者を見分けるためのポイントを解説します。

給与ファクタリングとは何か

給与ファクタリングとは、労働者が「将来受け取る予定の給与債権」を業者に買い取ってもらう(譲渡する)という形をとった金融商品です。給料日前に「今すぐ現金化できる」とうたって申し込みを募り、給与額面から高額な手数料を差し引いた金額を利用者に渡します。

一見、運送業向けの売掛金ファクタリングと似た仕組みに見えますが、対象となる債権も、法的な位置づけもまったく異なります。事業者向けファクタリングは「事業活動で発生した売掛金(運賃請求権など)」を対象とするのに対し、給与ファクタリングは「個人の給与」という、そもそも譲渡が予定されていない債権を対象にしている点に大きな問題があります(融資と債権譲渡の違いはファクタリングと融資の違いでも解説しています)。

事業者向けファクタリング (正規・適法) 給与ファクタリング (違法) 対象となる債権 法的性質 貸金業登録 事業者の売掛金 個人の給与債権 債権譲渡(適法) 実質的な貸付=貸金業 不要 必須 無登録営業は違法
図1:事業者向けファクタリング(正規)と給与ファクタリング(違法)の違い

事業者向けファクタリングと給与ファクタリングの違い

項目事業者向けファクタリング(正規)給与ファクタリング(違法)
対象となる債権事業者の売掛金(運賃請求権など)個人の給与債権(未払い給料)
法的性質債権譲渡(適法な取引)実質的な貸付(貸金業に該当)
必要な登録貸金業登録は不要貸金業登録が必須(無登録営業は違法)
手数料の水準2%〜20%程度(取引ごと・目安)実質年利換算で数百%に達する例も
金融庁の見解資金調達手段の一つとして許容無登録営業は「ヤミ金融」に該当
取り立て通常の商取引の範囲内職場や家族への違法な取り立てが報告

表の通り、事業者向けファクタリングは「事業資産の早期現金化」という適法な取引ですが、給与ファクタリングは「個人への実質的な貸付」を、譲渡契約という形式で覆い隠しているにすぎません。

なぜ給与ファクタリングは「ヤミ金融」なのか

金融庁は2020年3月、給与ファクタリングについて「貸金業法上の貸金業に該当する」との法令解釈を公表しました。給与債権の譲渡という体裁を取っていても、実態は「後で給与相当額を利用者から回収する」ことを前提にした金銭の交付であり、経済的な機能は貸付と変わらないためです。

貸金業を営むには貸金業登録が必須ですが、給与ファクタリング業者の多くはこの登録を行っていません。無登録で貸付を行うことは貸金業法違反であり、いわゆる「ヤミ金融」にあたります。さらに、貸付とみなされる以上、利息制限法や出資法の上限金利の規制も及ぶため、実質年利が数百%を超えるような給与ファクタリングの手数料は、明らかにこれらの上限を超える違法な金利ということになります。

こうした位置づけは、裁判所の判断でも裏付けられています。最高裁は令和5年(2023年)に、給与ファクタリングを貸金業法・出資法上の「貸付け」にあたると判断しました。またこれに先立つ民事の裁判例では、契約が公序良俗に反して無効とされ、利用者が支払った手数料の返還が認められた例もあります。

安全な業者を見分けるチェックポイント

ファクタリングを名乗る業者に相談する際は、次のポイントを必ず確認しましょう。

  1. 対象としている債権が「事業者の売掛金」であり、個人の給与を対象にしていないか
  2. 契約書(債権譲渡契約書)をきちんと交付するか
  3. 手数料の算出根拠を明示しているか
  4. 償還請求権の有無(ノンリコースかウィズリコースか)を明確に説明しているか
  5. 会社の実態(所在地・登記情報・実績)が確認できるか

「審査なしで即日現金化」「個人でも会社でも関係なく利用可能」といった曖昧な勧誘文句を強調する業者や、SNS・LINEだけで完結する勧誘には特に注意が必要です。

安全な業者 危険な業者・ヤミ金融 契約書を交付する 手数料の根拠を明示 会社の実態が確認できる 対象は事業者の売掛金 個人の給与も対象にする 「審査なし・即日」を強調 SNS・LINEだけで完結 所在地・登記が不明確
図2:安全な業者と、危険な業者・ヤミ金融の特徴

被害に遭った・遭いそうな場合の相談窓口

すでに給与ファクタリングを利用してしまった、あるいは強引な取り立てを受けているという場合は、一人で抱え込まず、次のような公的窓口に相談してください。

  • 法テラス(日本司法支援センター):弁護士・司法書士への取り次ぎが可能
  • 警察相談専用電話「#9110」:違法な取り立てなど、犯罪に関わる相談(緊急時は110番)
  • 金融庁 金融サービス利用者相談室:貸金業・ファクタリングに関する相談
  • 消費者ホットライン「188」:最寄りの消費生活センターにつながる相談窓口

これらの窓口は無料で相談でき、状況によっては契約の無効主張や、支払った手数料の返還請求につながる場合もあります。

まとめ

給与ファクタリングは、「ファクタリング」という言葉を使いながら、実態は無登録のヤミ金融であるケースがほとんどです。運送業で働く個人事業主やドライバーの方も、資金繰りに困った際にこうした違法業者を利用してしまわないよう、対象となる債権の種類・貸金業登録の有無・手数料の水準を必ず確認する習慣を持つことが重要です。事業の売掛金を対象にした正規のファクタリングと、個人の給与を狙う違法な給与ファクタリングは、名前が似ていてもまったくの別物であると理解しておきましょう。

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参考・出典

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