運送業の資金繰り対策としてファクタリングを検討し始めると、必ず突き当たるのが「2社間と3社間、どちらを選べばよいのか」という疑問です。同じ「売掛金を早期資金化する」仕組みでありながら、契約の当事者・手数料・審査スピードが大きく異なるため、選び方を間違えると「思ったより手数料が高かった」「荷主との関係がぎくしゃくした」といった事態にもなりかねません。本記事では、運送業の経営者の視点から、2社間・3社間ファクタリングの違いと、自社に合った選び方を解説します。
そもそも2社間・3社間ファクタリングとは何が違うのか
ファクタリングは、保有する売掛金(荷主への運賃請求権)をファクタリング会社に買い取ってもらい、支払期日前に現金化する仕組みです(基本的な流れは運送業のファクタリングとは?で解説しています)。この「誰が契約に関わるか」によって、2社間と3社間に分かれます。
2社間ファクタリングは、運送会社とファクタリング会社の2者だけで契約を完結させる方式です。荷主には一切知らせず、運送会社が売掛債権をファクタリング会社に譲渡し、後日荷主から入金された運賃をファクタリング会社へ送金する流れになります。
3社間ファクタリングは、運送会社・ファクタリング会社・荷主の3者が関わる方式です。荷主にファクタリングの利用を通知し、承諾を得たうえで、運賃の支払い先を荷主からファクタリング会社へ直接切り替えてもらいます。
最大の分かれ目は「荷主に知られるかどうか」であり、そこから手数料・審査スピード・取引関係への影響まで、すべての違いが派生していきます。
比較ポイントで見る2社間 vs 3社間
| 比較項目 | 2社間ファクタリング | 3社間ファクタリング |
|---|---|---|
| 契約当事者 | 運送会社・ファクタリング会社 | 運送会社・ファクタリング会社・荷主 |
| 荷主への通知・承諾 | 不要 | 必要 |
| 手数料相場 | 8%〜20%程度 | 2%〜9%程度 |
| 資金化スピード | 即日〜数日 | 数日〜2週間程度(承諾待ちが発生) |
| ファクタリング会社のリスク | 高い(直接確認できない) | 低い(荷主から直接回収) |
| 取引先との関係への影響 | ほぼなし | 通知により警戒される可能性 |
| 向いている場面 | スピード重視・秘匿したい場合 | 手数料を抑えたい・関係良好な場合 |
表の通り、2社間は「早さと秘匿性」、3社間は「手数料の安さ」がそれぞれの強みです。ファクタリング会社からすると、3社間は荷主から直接回収できるため貸し倒れリスクが低く、その分手数料を低く設定できます。逆に2社間は運送会社を経由した回収になるためリスクが高く、手数料も高めになる、という構造です(手数料相場はいずれも目安です)。
運送業に向いているのはどっち?
運送業特有の商習慣を踏まえると、一概にどちらが優れているとは言えません。自社の状況によって向き不向きが分かれます。
2社間が向いているケース
- 荷主との取引が単発、または関係がまだ浅く、ファクタリング利用を知られたくない
- 元請けからの下請け・孫請けの立場で、荷主(元請け)に直接連絡を取りにくい
- 燃料代や車両修繕費の支払いが今週中に迫っており、スピードを最優先したい
- 荷主の数が多く、案件ごとに3社間の手続きを取るのが現実的でない
多重下請け構造の多い運送業では、元請けに「資金繰りが厳しいのでは」という印象を与えたくないという理由から、2社間を選ぶ経営者が実際に多くを占めます。
3社間が向いているケース
- 荷主と長年の取引実績があり、事情を説明すれば理解を得られる関係性がある
- 特定の荷主との取引が売上の大部分を占め、継続的にファクタリングを利用する予定がある
- 手数料コストをできる限り抑え、資金化を「経営の仕組み」として定着させたい
- 資金化までに数日〜2週間程度の余裕がある
継続的に取引がある大口荷主が相手であれば、3社間に切り替えることで手数料を大幅に圧縮でき、長期的にはトータルコストを抑えられます。
選ぶ際の判断基準
迷ったときは、次の3つの軸で判断すると整理しやすくなります。
① 資金化までの猶予はどれくらいか
今すぐ資金が必要なら2社間、数日〜2週間の猶予があるなら3社間も選択肢に入ります。
② 荷主にファクタリング利用を知られても問題ないか
取引関係や信頼度によっては、通知することがマイナスにならない場合もあります。
③ 手数料コストと資金化スピードのどちらを優先するか
単発の資金繰り改善なら2社間、継続的な資金調達手段として組み込むなら3社間が有利になりやすい傾向があります。
実際の利用イメージ
たとえば、下請けの立場で複数の元請けと取引がある運送会社であれば、急な支払いには2社間を使いつつ、特に取引が安定している主要荷主1社とは3社間契約を結んでおく、といった「使い分け」も可能です。すべてを一つの方式に統一する必要はなく、案件や荷主との関係性に応じて柔軟に選ぶことが、資金繰り改善と手数料コストの最適化を両立させるポイントになります。
まとめ
2社間ファクタリングは「スピードと秘匿性」、3社間ファクタリングは「手数料の安さ」に強みがあります。運送業は多重下請け構造や荷主ごとに異なる関係性を抱えているため、画一的にどちらか一方を選ぶのではなく、荷主との関係・資金化までの猶予・コストのバランスを見ながら、案件ごとに使い分ける視点を持つことが重要です。
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